地図作りに貢献した人々
ギリシアの哲学者は、ああでもないこうでもないと議論を積み重ねることは得意でした。しかし実験したり見て確かめたりすることはあまりしなかったため、世界が丸いのではないかと思うこともありましたが、測って確かめようとはしなかったのです。
地球の大きさは、経度を用いた二つ場所の間の距離と太陽の高さを測ることで分かります。ただこの測り方を実際にできるのは、エラトステネス以降のことだったというのが現実です。エラトステネスはヘレニズムの時代に活躍した人物です。地中海の外については何も知りませんでしたが、地球を測ってみようとすることはできました。
そのために学ばれたのはギリシアの幾何学で、測量の学問に広く使われました。これにより、地図は実際に利用することができるレベルに近づいていったのです。
もう少し時代が新しくなると、プトレマイオスという人物が活躍しました。プトレマイオスといえば、投影法を思い浮かべる人がいるかもしれません。プトレマイオスはアリスタルコスがせっかく地動説を唱えてくれたのに、アリステトテレスに従ってを天動説の立場を取ってしまった残念な人です。
が、地図作成については結構色々な結果を残した人ではないでしょうか。緯度とか経度とかに拘って大事なものを見落とす人もいますよね。でも彼は投影法によって正しい比例を計算することが出来ました。正距円錐図を発明して驚かせました。地球の多くの部分が彼によって描かれたのです。その影響は1000年先にも及んだほどです。もちろん近代の科学的な地図よりは正しくありませんでしたが、中世は学問的に停滞した時代だったので、彼より優れた地図関係者がいなかったのも確かです。
ローマ帝国の時代に重宝されたのは何だったのでしょうか。それは道路地図です。実用的な地図といえば、現代のわれわれもこの道路地図を思い浮かべます。目的地まで行くためには道路地図の力を借りる必要があります。
その地図がローマで作られたのは理由を聞けば合点の行く話です。ローマ帝国はヨーロッパや北アフリカ、西アジアを全部支配していた、非常に広い国であったため、道案内の必要性があったのです。